日次レポート2026/7/31by 初心者向けライター

【金曜】今度は日経平均だけが上昇。1銘柄で約660円押し上げた「値がさ株」の話と、今日の日銀会合の結果発表

おはようございます。昨日7月30日(木)の東京市場は、日経平均が61,867.43円(+433.24円・約0.71%高)と3日ぶりに反発しました。ところがTOPIXは3,952.50ポイント(-21.53ポイント・約0.54%安)と下落。前日とはちょうど逆の形です。値上がり534銘柄に対し値下がりは993銘柄で、実は下げた銘柄のほうが多い一日でした。指数を押し上げたのは1銘柄で約660円分という「値がさ株」の力です。今日7月31日は日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。

【金曜】今度は日経平均だけが上昇。1銘柄で約660円押し上げた「値がさ株」の話と、今日の日銀会合の結果発表

おはようございます。金曜日の朝です。7月の最終営業日を迎えました。

昨日の東京市場は、前日とちょうど「逆さま」の形になりました。実は、この2日間を並べて見ると、株価指数のしくみがとてもよくわかります。前回の記事を読んでくださった方は、答え合わせのつもりでお付き合いください。

まずは昨日7月30日(木)の終値をおさらい

項目7月30日(木)終値前日比
日経平均株価61,867.43円+433.24円(約+0.71%)
TOPIX3,952.50ポイント-21.53ポイント(約-0.54%)
JPX日経インデックス40035,683.90-139.37(約-0.39%)
東証グロース市場250指数666.97+0.85(約+0.13%)
ドル円(参考)163.63円16:30時点

日経平均は3日ぶりの反発です。ここだけ見れば「市場が持ち直した」と読みたくなります。

ところが、TOPIXは下がっています。 そして銘柄数を見ると、その印象はさらに変わります。

東証プライム市場の売買代金は約12兆6,645億円。値動きの内訳は、値上がりが534銘柄、値下がりが993銘柄、変わらずが28銘柄でした。

つまり、下がった銘柄のほうが2倍近く多かったのに、日経平均はプラスで終えた——というのが昨日の中身です。

前日と読み比べると、しくみが見えてきます

前日7月29日(水)は、これとちょうど反対でした。

7月29日(水)7月30日(木)
日経平均-930.73円(約-1.49%)+433.24円(約+0.71%)
TOPIX+10.44ポイント(約+0.26%)-21.53ポイント(約-0.54%)
値上がり銘柄1,044銘柄534銘柄
値下がり銘柄491銘柄993銘柄

29日は「日経平均だけが下げ、実際には値上がり銘柄のほうが多かった」日。 30日は「日経平均だけが上げ、実際には値下がり銘柄のほうが多かった」日です。

2日連続で、日経平均と市場全体の空気がずれました。 偶然ではなく、指数の作り方の違いから生まれる現象です。

なぜ「日経平均だけ」上がったのか

答えは、日経平均が株価の高い銘柄の影響を強く受けるという点にあります。

もう一度、2つの指数を並べておきます。

日経平均株価TOPIX
対象東証プライムの代表的な225銘柄東証の幅広い銘柄
計算のしかた株価そのものを平均する方式会社の規模(時価総額)に応じて加重する方式
影響が大きいのは株価の高い銘柄規模の大きい会社

株価が高い銘柄のことを、市場では値がさ株(ねがさかぶ)と呼びます。日経平均は株価をならして計算するため、値がさ株が動くと指数が大きく振られます。

昨日、その値がさ株が大きく上昇しました。

1銘柄で指数を約660円押し上げた

昨日の日経平均への寄与度(その銘柄が指数を何円動かしたか)の上位は、次のとおりです。

押し上げた銘柄寄与度
アドバンテスト約+660円
東京エレクトロン約+225円
TDK約+33円
押し下げた銘柄寄与度
ファーストリテイリング約-153円
ソフトバンクグループ約-96円
コナミグループ約-29円

ここで、昨日の日経平均の上げ幅をもう一度見てください。+433.24円です。

アドバンテスト1銘柄の押し上げ(約660円)だけで、指数全体の上げ幅を超えています。

言いかえると、この1銘柄がなければ日経平均はマイナスだった計算になります。市場全体では値下がり銘柄のほうが多かったこと、TOPIXが下げたことと、きれいにつじつまが合います。

上昇のきっかけは決算でした

アドバンテストは半導体の検査装置を手がける会社です。7月30日に発表した決算で、第1四半期の営業利益が1,900億円(前年同期比53.3%増)となり、あわせて通期の営業利益予想を6,275億円から8,460億円へ引き上げました。これを受けて株価は10.8%高で引けています。

朝方の日経平均は175円85銭安の61,258円34銭で始まりましたが、この決算をきっかけに買いが集まり、前引けは784円高の62,218円、日中には一時1,500円近い上げ幅を見せる場面もありました。午後は方向感が定まらず、上げ幅を縮めて終えています。

初心者の方に持ち帰っていただきたいのは、次の一行です。

指数の上下は「市場全体の平均点」ではなく、「配点の大きい銘柄の点数」に強く左右される。

前回の記事では「日経平均が下がった=すべてが下がった、ではない」とお伝えしました。昨日はその裏返しで、「日経平均が上がった=すべてが上がった、ではない」が起きた日です。どちらの日も、確かめ方は同じです。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数、そしてTOPIXを一緒に見る。 これだけで、見出しの数字に振り回されにくくなります。

前の晩の米国市場は大きく下げていました

日本が上げた一方で、その前夜の米国市場は下落していました。

米国の指数7月29日終値前日比
ダウ工業株30種平均51,594.14ドル-1,153.18ドル(約-2.19%)
S&P5007,316.15約-1.52%
ナスダック総合24,442.94約-1.74%

ダウの下げ幅は2025年4月以来の大きさでした。

背景にあったのは、FOMC(米連邦公開市場委員会)です。FOMCはアメリカの金融政策を決める会合で、日本でいえば日銀の金融政策決定会合にあたります。

7月28日・29日の会合で、FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利の誘導目標を3.50〜3.75%で据え置きました。据え置き自体は想定内でしたが、票が9対3に割れたことや、インフレ(物価上昇)がなかなか収まらないという受け止めから、米国の長期金利が上昇。金利が上がると、株式は相対的な魅力が下がると見られやすく、幅広く売られました。

日本株がその流れに素直に従わなかったのは、前述のとおり個別企業の決算という国内の材料が勝ったためです。海外市場につられる日もあれば、つられない日もある——このあたりも、しばらく相場を見ていると腹落ちしてきます。

熊本地震のその後

7月28日(火)に発生した令和8年熊本地震について、続報をお伝えします。

7月30日午前の時点で、ソニーグループ、ルネサスエレクトロニクス、三菱電機の熊本県内の半導体工場は生産停止が続いています。TSMCの子会社であるJASM(熊本県菊陽町)も設備の状況確認を進めている段階です。

いっぽうで再開の動きも出ています。荏原製作所は熊本事業所(南関町)の操業を30日に再開し、東京エレクトロン九州は合志市・大津町の両事業所について8月3日の再開を予定しています。熊本県によると、誘致企業515社のうち63社で建屋や設備の被害が確認されています。

被災された方々に、あらためてお見舞い申し上げます。IRDBは災害を「投資の機会」として扱いません。 ここでお伝えしたいのは、会社の業績が決算書の数字だけでなく、工場の場所や取引先といった現実の事情にも左右される、という一点だけです。

今日7月31日(金)の注目点

今日は朝から夕方まで、材料が途切れない一日になります。順番に見ていきましょう。

朝8時30分・8時50分:経済統計が集中します

時刻発表内容
8:30東京都区部消費者物価指数(7月・中旬速報値)東京の物価の動き。全国の先行指標として注目されます
8:30労働力調査(6月)完全失業率など
8:30一般職業紹介状況(6月)有効求人倍率など
8:50鉱工業生産指数(6月・速報)工場の生産の増減

とくに東京都区部の消費者物価指数は、この後の日銀の判断を考えるうえでヒントになる数字として見られています。

日中:日銀の金融政策決定会合の結果が出ます

昨日7月30日から開かれている日本銀行の金融政策決定会合が、今日2日目を迎え、結果が発表されます。あわせて、日銀の景気・物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)も公表され、午後には総裁の記者会見が予定されています。

日銀は6月の会合で、政策金利を1995年9月以来およそ31年ぶりの水準となる1.0%程度へ引き上げました。報道では、今回は前回の利上げの効果を見極めるため、1.0%程度で据え置く公算が大きいと伝えられています。

ただし、これはあくまで事前の見方であり、結果は発表されるまでわかりません。 発表が想定と違った場合や、展望レポートの中身・記者会見の発言しだいで、為替や株価が動くことがあります。

初心者の方には、「当てにいく」のではなく「終わってから読む」をおすすめします。結果が出たあとで、政策がどうなり、市場がどう反応したかを確かめる。その繰り返しのほうが、ずっと確かな力になります。

そのほか

今日は7月の最終営業日です。月末は、機関投資家が持ち高を調整する売買が出やすい日とも言われます。また、決算発表シーズンの真っ最中で、今日も多くの企業が決算を公表します。昨日のアドバンテストのように、1社の決算が指数全体の見え方を変えてしまうことがある時期です。

明日以降のイベント

  • 8月相場入り:週明けからは8月です。決算発表は8月上旬にかけてピークが続きます。
  • 決算の確認は落ち着いてからでも間に合います:発表直後の値動きは荒くなりがちです。IRDBでは、有価証券報告書をもとにした企業データを、決算の熱が冷めたあとでもいつでも確認できます。
  • 数字の読み方を増やしておく:今日のように「指数」と「中身」がずれる日は、これからも必ずあります。用語集で少しずつ言葉を増やしておくと、ニュースの解像度が上がります。

今日のまとめ

  • 日経平均は61,867.43円(+433.24円)と3日ぶりに反発、TOPIXは3,952.50ポイント(-21.53ポイント)と下落
  • 値上がり534銘柄に対し値下がりは993銘柄で、下げた銘柄のほうが多かった
  • 上昇の主役は値がさ株。アドバンテスト1銘柄の寄与度(約+660円)が指数の上げ幅(+433.24円)を上回った
  • 前夜の米国市場はFOMC後の金利上昇を受けて大きく下落していた
  • 今日は朝に経済統計、日中に日銀会合の結果発表と展望レポート、午後に総裁会見

ワテのひと言(大阪弁の総括)

さて、ここからは船場の番頭がひと言。

昨日は日経平均が433円高でっけど、中身を開けてみたら値下がりが993銘柄で、値上がりは534銘柄。下がった店のほうが倍近く多かったっちゅう話でんがな。それでも指数がプラスやったんは、アドバンテスト1銘柄で約660円分も持ち上げたからでんねん。指数の上げ幅より、1銘柄の押し上げのほうが大きい。えらい話でっしゃろ。

商いでもおんなじですわ。店全体の売上が伸びとっても、中を見たら大口の得意先が1軒だけ跳ねてて、あとの店はしんどい——なんてことは、ようある。合計だけ見て「今月はええ月やった」と喜ぶ番頭は、翌月に泣きまんねん。

そこで大事なんが、内訳を見る癖でんな。株なら値上がり・値下がりの銘柄数、商売なら得意先ごとの売上。手間はかかりまっけど、これをやっとる者としてへん者では、半年後の目線がまるでちゃいます。

ほんで今日は日銀さんの会合の結果が出る日でっせ。据え置きの見方が多い、いう話は伝わってまっけど、フタを開けるまではわからん。 ワテら商人は、当てにいくより出た答えをきっちり読むほうが性に合うてます。今日も一日、気ぃつけていきまひょ。

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